現在では大手の看護師派遣会社がいくつもあり、インターネットから検索すれば簡単に見つけることができます。
現にこれらの看護師派遣会社を利用している方はたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし以前は看護師の派遣は法律で禁止されていました。今では考えられないことですが、確かに違法とされていた時代があったことは事実であり、現在でも違法となるケースは一部存在します。
今回は看護師の派遣で違法となる場合と、そうでない場合について詳しく解説していきたいと思います。
法改正によって看護師の派遣業務は条件付きで一部解禁に!
ネット上では看護師の派遣は法律で禁止されているので違法なのでは、という情報をたまに見かけることがあります。
え!?それじゃ派遣で働く事自体が違法なの?と不安になるかもしれませんが、現在では派遣看護師として働くことは違法でもなんでもありません。このような看護師さんの働き方も、れっきとした合法であると言えます。
以前の労働派遣法では派遣業務を全面禁止していたけれど……
現在では派遣での働き方もメジャーになりましたが、それ以前の派遣業務は一部の職種でのみ許される働き方でした。
改正が実施されるまでの労働者派遣法では、派遣での労働が禁止されている業務がいくつかあり、その中に看護師をはじめとした医療従事者も含まれていました。
現在では幾度かの改正が実施されたことで、看護師さんも派遣での働き方ができるようになっています。
労働者派遣法にて派遣業務が禁止されていた医療関連業務
医師・歯科医師・薬剤師の調剤・保健師・助産師・看護師・准看護師・栄養士
このように原則的には病院をはじめとした医療機関に、看護師を派遣することは禁止されていたのですが、その後労働者派遣法の内容が改正され、一定の条件を満たしていれば看護師さんも派遣で働くことができるようになっています。
看護師派遣での業務が許可される条件について
労働者派遣法の改正によって全面解禁とはいかないものの、特定の条件を満たしていることで派遣看護師として業務にあたることが可能となっています。
看護師さんが派遣看護師として働くことがきる条件は以下のようになります。
派遣法で看護師派遣が認められる条件
- 派遣先が医療機関以外での施設である場合
- 産休や育休をとっている看護師の代替として雇用する場合
- 派遣期間終了後に直接雇用することを前提とした派遣(紹介予定派遣)である場合
派遣先が医療機関以外での施設であれば違法とはならない!
医療機関以外の場所で看護師業務を行う場合、派遣法では全面解禁となっています。
看護師の派遣業務が全面的に許可されている場所
- 健診センター
- 訪問介護センター
- 有料老人ホーム
- デイサービス
- 特別養護老人ホーム
- 保護施設
- 児童福祉施設
- 障害者施設
- 保育園
看護師の派遣業務が禁止されている医療機関
以下のような医療機関であると定義されてる場所では、看護師の派遣業務は禁止とされています。
- 病院
- クリニック
- 助産所
- 介護老人保健施設
- 患者の自宅
派遣先が病院でも違法にならないケースもある!
現在の法律では下記の条件に1つでも該当すれば、派遣看護師を雇用できるとされています。
- 離島または僻地に立地している医療機関である場合
- 産休や育休をとっている看護師の代替として雇用する場合
- 派遣期間終了後に直接雇用することを前提とした派遣(紹介予定派遣)である場合
医療機関であっても一定の条件下では派遣が許可される
派遣先が上記の条件を守っているのであれば、派遣看護師を雇い入れても問題はありません。
つまり派遣先が病院であっても、正職員に切り替わることを前提とした紹介予定派遣であったり、産休している看護師の代わりであったり、離島にある病院での勤務であるならば、違法ということには全くならないのです。
また患者の自宅での訪問看護業務であっても、患者宅が離島にある場合は看護師を長期派遣することが認められています。
現在では合法なのに違法と言う人がいるのはなぜ?
このように一定の条件が付くものの、派遣看護師として働くことは違法でもなんでもないのです。それではなぜ、現在でも違法と思っている人がいるのかについて解説していきましょう。
医療業界において看護師の派遣は違法だったのですが、平成15年と平成18年の二度にわたる派遣法改正が実施されたことで、一部解禁となり看護師さんが派遣で働くことが可能になりました。
つまり医療業界で看護師の派遣が可能となったのは、2006年以降からでほんのつい最近のことなのです。
しかし全面的に解禁されたのではなく、上記のように一定の条件を満たしていることが前提となるため、未だに派遣での働き方が違法ではない、ということを知らない方もいらっしゃるのだと思われます。
看護師の単発派遣が違法だと言う人もいるけれど実際どうなの?
看護師の単発派遣も違法だと意見を述べている人もいますが、看護師派遣では単発のお仕事も紹介されていますよね。
実際に平成24年の派遣法改正では、日雇い派遣はすべての職種で禁止されています。
ならば看護師の単発派遣は違法なのではと思われるかもしれませんが、実はそれも違法では無いので全く問題はありません。
なぜ看護師の単発派遣が違法ではないのかについて解説していきましょう。
一見同じように見えるけれど日雇い派遣とは異なる
看護師の単発派遣と日雇い派遣、呼び方が似ているので同じものだと誤解されやすいのですが、実のところ看護師の単発派遣は派遣法で禁止されている日雇い派遣とは異なるものです。
派遣法で禁止されている日雇い派遣は、雇用期間が1日~2日と極端に短いものを指します。法律では雇用期間が30日以内となる場合、日雇い派遣として区分されます。
看護師派遣の単発案件は日雇い派遣には該当しない
看護師派遣で募集されている単発派遣の場合、契約期間が31日以上となっているため、法律上でも日雇い派遣には分類されません。
看護師派遣での単発は1~2日くらいの案件なのですが、スタッフとなる看護師が派遣会社と31日以上の雇用契約を結んでいるので法律違反にはならないのです。
また31日以上の雇用契約を結ぶには、週20時間以上の労働をすることが前提となりますが、看護師派遣では週3日以上の労働となるように、複数の案件を合わせることで違反とならないようにしています。
単発でも副業であれば違法とはならない
さらに副業での単発案件なら、週20時間以下の労働でも違法とはなりません。
すでに本業を持っている人など、以下の条件の中でどれか1つでも当てはまるのであれば、例外として副業での派遣業務も許可されています。
単発派遣が許可される条件(週20時間未満)
- 本業での年収が500万円以上である
- 世帯収入が年間500万円以上である
- 年齢が60歳以上である方
- 雇用保険の適用外となる学生の方
看護師派遣を行っている会社が違法かどうか見分けるには?
以上のように以前は医療従事者の派遣は禁止されていたものの、派遣法の改正を経た現在では、看護師さんが派遣で働くことは違法ではなく合法となっています。
それでも中には違法な派遣会社も存在するのですが、万が一そのような派遣会社に登録してしまったとしても、看護師さんにペナルティが課されることはありませんのでご安心ください。
厚生労働省から許可番号を得ていない会社は違法となる
看護師さんにペナルティが課される心配は無いものの、違法な派遣会社に当たらないように注意しておく必要はあります。
まず最低限の目安として挙げられるのは、厚生労働省許可番号を提示している派遣会社であるかどうかです。
厚生労働省の許可を得て運営している会社であるならば、派○○-○○○○○○のような、「派」から始まる2桁と6桁の番号が、ホームページなどに記載されているはずです。
一般的に事業を行うには厚生労働省から、このような許可番号を発行してもらう必要があり、番号を記載していない派遣会社は違法となりますので注意してくださいね。